魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

さすがの私も……自分の国の総理大臣くらい知っている。


現首相の……黒闇神総理大臣……。


「……久しぶりね」


隣にいるのは……夜明さんの、お母さん?


ふたりとも、夜明さんくらいの年のお子さんがいるとは思えないほど若々しい。


夜明さんが、私の肩を抱いたままご両親に歩み寄った。


ふたりの前で立ち止まり、私も足を止める。


あ、挨拶、しなきゃっ……。


「は、はじめまして、双葉鈴蘭といいます」


私は急いで、ご両親に向かって頭を下げた。


「このたびは――」


「なんてこと……」


私の声を遮ったのは、夜明さんのお母さんの声。


さーっと、血の気が引いていくのを感じた。