魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

ノワールと同じく、黒で統一されている建物だった。だけど……学校の校舎よりも大きい。


日本に……こんな建物が存在したなんてっ……。


「鈴蘭?」


「あっ……すみません、お家が大き過ぎて驚いてしまって……」


「そうか?」


まるで当たり前とでも言わんばかりの反応に、苦笑いがこぼれた。


やっぱり夜明さんは、いろいろと常人離れしてる……あはは。


「行こうか」


夜明さんが私の肩を掴んで、一緒に並んで歩く。


「鈴蘭、緊張しているのか?」


「え?」


「少し震えている」


夜明さんに言われて初めて気づいた。


よく見ると、手が少し震えていて、足取りもふわふわしている。