魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

その後……助手席から私を見ながら、いつもの笑顔を浮かべてくれた司空さん。


「あなたの優しさに……私も、夜明も、いつも救われています」


え……?


そんな……私には勿体無い言葉。


「おふたりに救われているのは、私のほうです」


寂しくて、つらくて、逃げ出したい日々から……救ってくれた夜明さん。


そして、その隣で、いつも守ってくれる司空さん。


ふたりに感謝しているのは、私のほうだ。


「……ありがとうございます、本当に」


司空さんはまるで噛み締めるように、もう一度お礼を言ってきた。


その声色が、切なく聞こえたのは……気のせいかもしれない。


「到着しました」