魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

「はぁ……そんな浮世離れした能力を行使して、立っていられただけでも褒めておきましょう」


「……黙れ」


苦しそうにしながらも、悪態をついている夜明さん。


「すみません鈴蘭様、夜明は能力切れで限界なようです」


「え?」


「家に着くまで、寝かせてあげてください」


能力を使ったから、疲れているだけ……?


「悪い、鈴蘭……」


夜明さんはそう言って、目を瞑った。


少しして、規則正しい寝息が聞こえてくる。


ほ、本当に平気なのかな……?


「心配されなくても大丈夫ですよ。眠っているだけです」


助手席から顔を出している司空さんが、にっこりと微笑んでくれた。