「ちっ……お前は空気も読めないのか?」


「一刻も早く向かうとおっしゃったのは夜明ですので、従ったまでです」


にっこりと微笑んでいる司空さんを見て、夜明さんはもう一度舌打ちをした。


お迎え……今から、本当に夜明さんの実家にお邪魔するんだ……。


「……鈴蘭、行こうか」


私の手を取って、立ち上がった夜明さん。


私も同じように立ち上がると、なぜか夜明さんが耳元に口を寄せてきた。


「もう一度……ふたりきりの時に、抱きしめさせてくれ」


その言葉に、私の顔が再び赤くなったのは言うまでもない。


 


夜明さんと司空さんについていった先にあったのは、以前も乗せてもらった高級車だった。