魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

こいつは……自分が、鈴蘭にいじめられていると言っていた。


母親も鈴蘭の味方で、家族の中で居場所はない、と……。


でも、流れていく記憶の中で、星蘭が家族から煙たがられている光景は一度としてなかった。


そして代わりに、鈴蘭が家族から虐げられている記憶ばかりが流れていた。


どういうことだ……?


こいつは俺に……自分は姉にいじめられていると相談してきていたんだぞ?


立場が、違うじゃないか……。


小学生の夏休みだろうか。鈴蘭が両親を怒らせ、まともに食事も与えられずに生活している記憶は、痛々しくて見ていられなかった。


こいつらは……ひとりの人間に、なんてことを……。