二枚目俳優と三連休

 さなえは困惑した。確かに、昨日から驚きも多かったけれど、楽しかった。カレーも今日の朝ご飯も、食事は最高だ。部屋は綺麗で清潔、下着だって用意してもらった。高柳は紳士で、崩れたところを見せない。
 確かに、マイナスポイント、一個もない…!
 高柳をおそるおそる見ると、にこにこしている。さなえは腹を括った。
「あの。お礼はきちんとしますので。よろしくお願いします」
「はいな。襲ったりせえへんから、安心してな」
 高柳の笑みにさなえもつられて微笑んだが、胸の奥がちくり、と痛んだ。
 うん?何で?変なの…

 その後、高柳と3日間のスケジュールを決めた。とりあえず二人で外出はしないのがルール。高柳は、もちろんマンションの出入りを自由にできる。今日と、明日、一つずつ打ち合わせの仕事が入っていた。さなえの必要なものなどは、その帰りに買ってくる、ということで落ち着いた。
 朝食の後片付けと、簡単な掃除をし、高柳がもうちょい時間あるな、と呟いた。
「伊藤さん、ちょっと出よか」
 きょとんとするさなえを、高柳が連れて行ってくれたのはアンティークショップだった。昨日のレンタルDVD店同様、マンションの部屋でやっているお店だ。
 棚の上には、可愛らしい小物や、古道具であふれていた。ビーズのバッグや、洋服など、とても古着とは思えなかった。どれも可愛らしくて、ずっと大事にしたいと思わせる凝った作りのものばかりだ。
 さなえは、うっとりしてアンティークの世界に入り込んでしまった。
「…さん、伊藤さん」
 やっと高柳に呼ばれていることに気づいた。慌ててふり向く。
「これ、着てみいひん?似合うと思うんやけど」
 さっと差し出されたのは、2枚のワンピースだった。
 レースや刺繍が可愛らしくあしらわれている、さっきさなえも「素敵…!」と思って見ていたものだった。お店のマダムもにこにこして、「そうね似合いそう」と、頷いている。2人に圧される形で、さなえはワンピースを試着した。どちらもぴったりだった。
「あ、伊藤さん、それ着たまんまでええよ。マダム、これどっちも買いますんで、タグ切ってやってください」
 え、買うってええっ…!
 さっとマダムにタグを切られてしまい、値段はいくらかわからなかった。しかし結構な値がするはずだ。
「た、高柳さん。あの」