たったの数時間。

だけど、この数時間で感じたものはたくさんある。


だけど、少し寂しくて後悔している自分もいる。

日雇いバイトってことは、今日で終わりなんだよね。

ここにスタッフとして来ることはもうなくて、今度は“お客さん”という立場でしか来れないんだよね。

なんで、日雇いバイトをこの場所に選んでしまったんだろう。

ここでもう少しだけでもいいから、1日だけじゃなくて数日でもいいから働けたらよかったのに。

そんなことも思った。


……今日が終わるとき。

この仕事が本当に好きだって気持ちが変わらなかったら、坂本さんに相談してみようかな。



『私、ここで働かせてもらえませんか?』



って……。


うん。

言ってみなきゃ始まらない。

言ってみよう。

その時が来るまで、私は一生懸命働くだけだ。


私は意気込むようにジュースを一気に飲み干した。



「ごほっ、」

「ちょっと、大丈夫⁉ 一気に飲むからむせちゃうのよ」



ジュースでむせた私に坂本さんが駆け寄ってきてくれる。

他のスタッフさんたちも背中をさすってくれたり、心配してくれる。

その優しさと温かさに私は涙がこぼれそうだった。