ライブハウスっていったら悠を思い出してしまうかもしれない。

実際に今、悠がライブハウスで歌っているところを想像してしまっている。


だけど、それでも今は明るい気持ちでいられている。

悠と直接関わることがなくても、同じ“音楽”という場所で繋がっていると思えたら応援している気持ちになれる。

私が別れを切り出した理由は、やっぱり悠を応援できないことだったから……。

悠を嫌いになって別れたわけじゃないから、悠の夢は応援し続けていたい。


こんな形でしか、応援できないけど。

こんな形だからこそ、応援したい。


私はさっそく、テーブルの上に置いたままの携帯を手に取り、求人の応募先に電話をかけた。



「求人雑誌を見て、イベントスタッフの求人に応募したいのですが……」