Tシャツにジャージのズボンでも可愛いんだけどな。

そう思って佳奈の着替えが終わるのを待ちながら、事前に調べていた夜景スポットまでのルートを携帯で検索する。


車で40分かぁ。

夜景が見れる穴場は山の上だから、そのくらいは時間がかかるか。


そんなことを考えていると、ピンクを基調とした花柄のワンピースに身を包んだ佳奈が現れた。

そんな洋服、初めて見た。

いつもはラフな格好をしているのに、今日は可愛い服着るなんて……。



「変、かな?」



どこか照れたようにふわふわの髪の毛をいじる佳奈に慌てて首を振る。



「変じゃない。っていうか、可愛すぎて……、」



言葉が出なくなってしまった俺は、赤くなった顔を見せないように玄関に向かう。


靴を履いて外に出る。

11月の夜の空気は冷たい。

車で行くとはいえ、コートにマフラーも巻いてきて正解だったな……。



「お待たせっ」



佳奈がグレーのコートを羽織り、モコモコのブーツを履き、俺の元へ駆け寄る。



「コートのボタン、閉めないと体冷えちゃうよ」



そう言って俺は佳奈のコートのボタンを閉める。

恥ずかしそうに笑う佳奈を今すぐ抱きしめたくなったけど、俺は衝動を抑えて車に向かう。

助手席に座る佳奈を横に、俺は車のエンジンをかけた。