「悠。……これだけは約束して」

「なんだよ」

「次に悠が誰かを好きになったときは、その子とちゃんと向き合って」

「……どういうことだよ」



そのままの意味だよ。

もう、私と悠が恋に落ちることはないから。

愛し合うことはないから。


だから。

次、悠に好きな人ができたら、私みたいに放ったらかしにしないで。

一緒にいることを当たり前だと思わないで。

愛情を受けることが当たり前だと思わないで。



「私は。……これから新しい彼氏のところに行くから」

「……勝手にしろよ」

「勝手にするよ」



靴を履き終えた私は、一度も振り返ることもなく玄関の扉を開けた。


平然を装いながら玄関から出る私。

ぱたんと閉まったドアは、無機質な音で悲しい音がした。