「このライブハウスにはスタッフがいねぇんだよな……」



熊山さんがぽつりと呟いた。

スタッフがいない?

じゃあ、ここのライブハウスは熊山さんひとりで運営しているってこと?



「まあ、そんなのは、あんたたちにとって関係ないことか」



思わず悠と顔を見合わせる。

関係ないことはない。

私たちはここにいる限り、このライブハウスの関係者だ。



「あの、電球取り換えてもいいですか?」

「え?」



私の言葉に心底驚いた様子の熊山さん。



「脚立とか新しい電球はありますか? なければ買いに行ってきます」



「そりゃ、あるが……。人の来ないライブハウスの電球を変える必要なんて……」

「私たち、このライブハウスを満員にしたいんです」

「満員ってことは客が入ってくるってことか……? そんなこと、」

「絶対にできます」