「そうだよな、」

「……、」

「佳奈って、そういう奴だったよな」



寂しがり屋で。

人に自分の気持ちを伝えることが苦手で。

ワガママも言えなくて。

ひとりで我慢してばかりで。

だけど優しくて。

誰よりも思いやりがあって。

人のことばかり考えて。

人の幸せばかり願っている。

……そんな女の子だったよな。


そんな佳奈を、そんな佳奈の嘘を見抜けなかった俺自身に腹が立つ。

佳奈を信じ切れなかった自分が悔しい。

俺は佳奈を抱きしめながら、片方の手を佳奈の頭に手を置いた。

ぽんぽんと頭を撫でる。


ありがとうな、佳奈。

佳奈、いっぱい我慢させちゃってごめんな。

俺の夢を応援し続けてくれてありがとうな。

佳奈の本当の気持ちに気づけなくてごめんな。

俺のこと一番に考えてくれて、ありがとうな。