仕事が終わり、瑠奈のアパートに戻る。

合鍵でアパートの部屋の鍵を開けようとすると、手ごたえがない。


……鍵が開いている?

瑠奈、帰ってきているのかな……?


腕時計を見れば、確かに瑠奈がちょうど帰ってきている時間だ。

私は玄関の扉を開け、部屋の中に入る。



「ただいまー」

「おかえりっ」

 
そう抱きつくように飛びついてきたのは瑠奈だった。

相変わらずセンスのある服を身にまとっている。

瑠奈はしばらく私を抱きしめた後、がばっと離れて私の肩を揺らした。



「初出勤はどうだったのよ⁉」

「うん、すごく素敵な会社だったよ」



瑠奈に話したい事がある。

真面目な顔で私が瑠奈にそう伝える。


玄関で話すことではない、と悟ったのか、瑠奈は私と一緒に部屋の中へ入っていく。

私はスーツから着替えることもなく、瑠奈と一緒にソファに座った。


リクルートカバンをソファの横に置く。