「君は本当に、別れた彼女に想いを向けて歌ったのかい?」

「え……」



言葉が出なかった。

絶句とはまさにこのこと。

ごくりと、喉が鳴ったのが分かる。



「私の目にはそう映らなかったけどね。中途半端に見えたよ」



中途半端?

佳奈に対する俺の気持ちが?


俺は怒りさえ湧いてきそうだった。

佳奈への俺の気持ちを侮辱されている。

そうとまで感じてしまったのだ。


だけど、ここは冷静を保たなければならない。

だけど、その冷静を保つ力はすぐに打ち砕かれた。



「審査する価値もない。この場で言う」