なんでバスケ部のスケジュール表を真紀が把握していて、さらに休みの日にハートの印を付けていたのかはわからない。
私は真紀を信じてる。でも斉藤くんが疑ってしまう気持ちも理解できる気がした。
「……真紀に直接、聞いてみたら?」
「そんなの怖くてできねーよ」
ふたりが付き合うことになったのは、斉藤くんからの猛アタックだったと真紀から聞いた。
断っても何度何度も気持ちを伝えてくれたらしくて、今でも斉藤くんは真紀に対して一途な気持ちを持ち続けている。
斉藤くんもモテるのに、その想いは一ミリも揺るがない。
「斉藤くんって、本当に真紀のことが好きなんだね」
「うん。だから余計にツラいっていうかさ……」
「わかるよ。私にも……好きな人がいるから」
小声で伝えると、斉藤くんは目を見開いて「え、誰!?」って聞いてきた。
斉藤くんは真紀しか見えてない。
だから私が隠してる秘め事に気づきもしない。
「お、教えるわけないじゃん」
「えーなんでだよ。俺でよかったら相談乗るよ?」
「私に相談してるくせに?」
「うん。だからそのお返しに」
「斉藤くんだけには絶対に、絶対に教えない!」
「はー? なんでだよ、このっ!」
「わっ、ま、待って。くすぐるのなしだって……ふっ、ははは、やだ、本当に弱いからやめてよ~!」
――ゴツン。
ふざけすぎた末に、私は壁に頭をぶつけてしまった。