「やっぱり真紀は、安村先輩となにかあると思う」
あれから斉藤くんとは委員会の時間以外でもふたりきりになることが増えた。いや、正確には真紀の隙を見て、私が斉藤くんに呼び出されてる。
場所はいつも、屋上の踊り場。生徒の立ち入りが禁止になってることもあって、屋上へと続くこの場所には誰も来ない。
「でも真紀は安村先輩のことはなんとも思ってないって言ってたよ」
「そんなのウソに決まってる。だって、ほら」
斉藤くんが私にスマホの画面を見せてきた。
そこには、スケジュールらしきものが表示されている。
「……これ、なに?」
「真紀のスマホのスケジュール表。ハートの印が付いてる日を調べたら、バスケ部の練習が休みの日だったんだ」
「どういうこと?」
「つまり安村先輩と遊べる日だってことだろ」
斉藤くんはまた真紀のスマホを勝手に見ただけじゃなく、浮気の証拠を掴もうと写真まで残していた。
「もう俺、真紀のこと信じらんねーよ……」
斉藤くんが髪の毛をくしゃりとしながら、顔を歪めている。