ふたつのお願いを告げられることは、もうないかもしれない。恐ろしさに飲みこまれそうになるのを、無理やり何も考えないようにする。

 カードを集める前に、そういえば見るのを忘れていた交換したカードを表に返す。ダイヤの三で、本当にカード運がないかも、と思い始める。

 けれど一回目も二回目も弱いカードで、『変えたほうがいいと思う?』という質問にキトエは同じふうに悩んでいたから、『勝ちたいけれど主にうそをつくのはいかがなものか』と素直に顔に出ていただけか、と予想する。

「じゃあ三回目」

 カードを切って中央に置く。一枚ずつ取って額にあてる。

 キトエのカードはクラブの五。ようやく勝てそうな数字が出てきたが、交換されたらどうなるか分からないので、キトエの表情を観察してみた。リコの額のカードに見入っているようだったが、目が合うとまた気恥ずかしそうにそらされた。まだ引きずっているのだろうか。

「カード、交換する」

 キトエが裏向きにしてカードを捨てた。

「え、交換するの?」