泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


「す、スマホに入れとく!」

日記を付けなくなってからは翌週以降の大事な予定は家のカレンダー以外にもすぐ確認出来る様、スマートフォンのカレンダーに書き込む様にしている私はさっきしまったばかりのスマートフォンを鞄から取り出して興奮気味に土曜日のところに予定を入れる。


「あのね、ただヒマワリが見たいってだけで場所とか全然調べたりしてなかったんだけど、家帰ったら調べておくから、とりあえず土曜日にこの場所で待ち合わせでいい?」


記憶を失ってしまう私はあまり予定を立てる事が得意ではなく、こうして勢い任せになってしまう事も多々あって。
申し訳ないと思いながらも窺う様にそう聞けば拓海は嫌な顔せずに頷いた。


「それなら11時にここに待ち合わせて、お昼も一緒に食べようよ」

「っいいのっ?」

「いいも何も、俺がそうしたいんだよ」


その言葉に照れくさくなってしまった私は「そうなんだ」と下手くそな照れ隠しをしながら、カレンダーに<11時、防波堤待ち合わせ>と記入する。

このわくわくとドキドキは久しぶりにこういう約束を誰かとした事からくるトキメキなのか、それとも拓海とだからこんなにも楽しみでドキドキするのか、あまり分からなかった。

ただ一瞬デートみたいだなって思った時、面白いくらいに顔に熱が集中した。


「それじゃあ、約束ね。土曜日」

「楽しみにしてる」

「私も!」


少しずつ近付く距離。

その距離がもっともっと縮まれば良いのにと思った。