泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】

「本当にアタリだ」

「うん。アタリ」

「こういうのってハズレばっかなのかと思ってたけど本当にアタリも入ってるんだね。そういえば朝の星占いで一位だったかも」

「的中じゃん」


まるで子どもみたいにアタリの棒を見つめる私たち。


「記念に写真でも撮っておく?」

「あははっ、大げさじゃない?」

「こういうのもんは記念でしょ」


言うが早いか、ズボンのポケットからスマートフォンを取り出した彼は「ほら、撮るよ」とレンズをこちらに向けた。どうやら撮るのはもう決定事項らしいので私はそれなら⋯と棒を持った手を前に突き出して、背景を海にする。


「うわ、青春ぽい」

「これが青春なの?」

「そもそも俺が前に住んでた所は海がなかったから海ってだけで青春感じる」

「そういうもの?」


生まれた時からすぐ近くに海のあるせいか海=青春という方程式はよく理解出来ないけど、今この瞬間は青春っぽくて何か良い。


「早く撮るなら撮ってよ」

「はーい。じゃ撮るよー」


いつまでも手を前に突き出しているのも恥ずかしくて急かす私にクスクス笑った拓海がポンとスマホ画面をタップする。

カシャリ、小気味いいシャッター音が鳴った。


「うん。めっちゃ良い感じ」

「見せて?」

「ほら」


拓海がスマートフォンの画面をこちらに向けてくれて、それを覗き込む。

青い海と、真ん中にはアタリ棒。

フォトジェニックとは到底言えないけれど、これはこれで良い写真に見える。


「これ送ってあげよっか」

「えー?いいよ、別に」

「いい。あげる。つーかもらえ」

「何それ」


良い写真なのは分かるけどそんなにこの写真が気に入ったの?と笑う私に拓海は「良い写真でしょ」と言いながらも少しだけ視線をさ迷わせる。