泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


防波堤に着く頃にはもうアイスは半分以上無くなっていて、「うわ、ハズレだ」と悔しそうに言った拓海の手には「ハズレ」と書かれた棒が握られていた。


「アタリ付きなんだ、これ」

「うん。だから早く佳乃のも見せて」

「待って、あと半分だから」


軽く急かされながらアイスにかぶりつくと、まだ全部は食べ切れていないけど一文字だけ文字が頭を出した。


「ア、」

「あ?」


棒を見てそう発した私を今度は拓海が不思議そうに見る。拓海の位置からでは、小さく薄い文字は見えないみたいだ。

だから私はどうせなら全部見えてかは見せようと、急いでアイスを食べる。

「え、どうした?」

さっきまでのんびりと食べていたくせに急にガツガツと食べ始めた私に若干戸惑いつつある拓海を尻目に齧り続ければ、半分程残っていたアイスはほんの一分もしないうちに無くなってしまって。


「拓海、アタリ」

「⋯うん?」

「ほら」


棒に刻まれた「アタリ」の文字を拓海の方へと向ける。

それを見た拓海は、瞬きを二回した後、「佳乃すげー」と甘く笑った。