泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


彼女の言う通り、チームメイトの中で彼女は一番活躍していた。

トスを的確に回して、小柄ながらアタックで得点も決めていた。

だけど相手チームにもバレー部の子がいたらしく、私たちのチームは負けてしまって。


「ごめん!任せてとか言ったくせに⋯」

「ううん。凄かったよ!それに私にもボール回してくれてありがとう。⋯点は決められなかったけど⋯、」

「岩崎さんは思ったより運動苦手だったね」


苦笑いの彼女に私も苦笑いを零す。


「岩崎さんってなんていうか⋯清楚な女の子って感じだったから何でもスラッと出来ちゃうのかと思ってた」

「⋯私が?」

「うん。でも運動オンチって知れてちょっと印象変わったかも」

「私ってとっつきにくい印象だった?」


清楚とはまた違うけど、クラスメイトに対して壁を作っていたのは事実で。だからわざわざ聞く事ではないのかもしれないけれど、会話の流れ的についそう口にしていた。


「とっつきにくいっていうか、⋯記憶の事もあるしどう接していいか分からなかったから⋯」

「⋯うん」

「だけど喋ってみたら意外と普通の子で⋯そういった点では印象変わったかな」


にこりと笑った彼女に、心が踊る。

ドキドキして、つい、調子に乗ってしまいそうになる。

もしかして壁を作っていたのは私だけだったのではないかと。

透明の膜の中で破る努力をせずにいたのは間違いだったのではないかって。

勘違いをした。

それを思い知るのは夏が終わった時だった。