泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


段々と輪から外れていく感覚はとても寂しかった。
周りは直接私に対して何かを言う事はなかったけれどちょっとした視線や態度で私は面倒くさい存在なのだと突き付けられる。

中学に上がればそれは更に分かりやすかった。話についていけないし、流行りの曲も分からない。皆、一週間で全てを忘れてしまう私にどう接したらいいのか分からないといった表情で上辺の優しさをくれる。

それは今も同じだ。

友達と呼べる存在はいないけれど、先生もクラスメイトも困っていたら手を差し伸べてくれる。だけどやっぱり、どこかよそよそしい態度は寂しくて、周りも私に合わせてくれる事を分かっているから私は敢えて一人を選んだ。

私に合わせて同じ話を何度もする必要はないし、何度も何度も自己紹介をする必要はない。

そんなのきっと、疲れてしまうだろうから。

そして周りも私と距離を取る事を望んでいる。


分からないのだ、私も、周りも。

私との接し方を誰も分からないのだ。

ずっとクラゲの様にふわふわと浮いている気分だ。

七日後、私の世界はリセットされる。

私だけが記憶をなくして皆と同じ時を過ごす。

いつかもしかしたら自分が誰なのかさえ忘れてしまうかもしれない。

心地悪いとかではなく、心地さえ感じない。

ずっと心がふわふわしている。