泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】



「それじゃあ、いってきます!」

キッチンの方から聞こえてくる「いってらっしゃい!」というお母さんの明るい声を背に家を出る。

灼熱の太陽がコンクリートを照らすけれど、道路のすぐ横にある海は涼しげに今日も波打っていた。


朝確認した日記帳には友達の存在が書かれていて、そこには坂口拓海という名前が記してあったのを思い出す。

彼はどんな人なんだろう。

きっと一週間前の私もそんな事を思っていたはずで、そんな自分が情けなく呆れてしまうけれど私はこうして過ごしていくしか出来ない。


「はあ、今日も暑いなぁ」


頭上で嫌になるほど輝いている太陽を見上げて呟く。

歩いているだけで滲む汗に顔を顰めて学校へと向かった。