泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


「どっちが先にアタリ出すか勝負する?」

「⋯嘘つかれたら嫌だよ。私分かんないから」

「嘘なんてつかないよ」

「⋯まあ、それならいいけど」


不思議と彼といると凄く心が軽かった。

どうしてかなんて分からないけど彼といると気持ちが楽で、自然な態度で接する事が出来た。

ありのままでいる事に抵抗を感じずにいられた。


「じゃあ、先にアタリが出た方は相手の言うことを何でも聞くってのは?」

「⋯その約束も忘れちゃうよ?」


こういう簡単な約束さえ私には出来ない。

あ、もしかして面倒くさいと思われてしまったかな?と一瞬、不安になった。

だけど彼はなんて事ない様に笑ったんだ。

後ろに煌めく海を背に、太陽の様な笑顔で、笑ってみせてくれたんだ。


「俺が覚えてるから大丈夫」

「⋯っ」

「ちゃんと、俺が覚えてる」


この約束が果たされるのは、意外とすぐの事だった。