泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


翌日も代わり映えしない学校生活を過ごす。

必死に授業に集中して、なるべくクラスメイトとは関わり合わない。こうして保ってきた絶妙な距離。

どう接すればいいのか分からないクラスメイトと相手も自分も傷付けない為には人と関わらない方が良い私はその絶妙な距離感の中で学校生活を共にしている。

そんな毎日は楽だけれど楽しくはなく、こういう生活が後半年以上続くのだろうと思っていたのに。



「よー、今日もあっちぃな」


防波堤の際に座り、ぶら下げた足を軽く伸ばしながらアイスを頬張っていた私の後ろから掛かった声は昨日も聞いた彼の声で。


「友達の、拓海」

「覚えてんじゃん」

「まだ今週だからね」

「そっか。つーか呼び捨て?」

「拓海も私のこと呼び捨てにしてたよ」

「確かに」


ごく自然に私の隣に座った彼の手にも同じアイスが握られていた。


「これ、昨日佳乃が食べてたから俺も買ってきた」


じっと見ていた視線に気付いた彼がそう言いながらしゃく、とアイスを齧る。


「美味しい?」

「美味しい」

「私、このアイス好きみたい」

「なら今度は佳乃の分も買ってくるよ」


ふた口でアイスを半分も食べてしまった彼の棒には頭を出した「ハ」の文字があり。


「君もハズレかぁ」

「は?ハズレ?」

「これ、アタリ付きなんだけど昨日も今日もハズレだったの。ついでに君もハズレ」

「アタリが出るともう一本貰えんの?」

「分かんない。けど、アタリハズレがあるならアタリが出て欲しいじゃん。その方が嬉しくない?」

「そりゃそうだな」


何が面白いのか軽く笑った彼はさん口目で全部のアイスを食べ終えると、「本当だ」と棒に書かれた“ハズレ”の文字を見た。