泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


きっと、最初から諦められなかったのは私の方だ。

知らない人に記憶の事を話した時点で、彼にもう一度同じ場所に来て欲しいと賭けた時点で、私は彼を諦める事なんて出来なかったのだろう。


「私は、岩崎佳乃」

「佳乃?」

「うん」

「佳乃かぁ。いい名前だな」


彼に呼ばれる佳乃という名前は、なんだか特別な気がした。