泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


だって、7日ごとにお母さんに妹の名前を教えてもらわなければ私は妹の名前すら分からなくなってしまう。

「この子はあなたの妹よ」って言ってもらわなければ、彩乃が一体誰なのかさえ分からない。

この感覚に慣れる事なんてなくて。それはきっと私の周りの人も同じだろう。

自分のことを忘れてしまう姉を一体誰が好くというのだ。

誰が姉だと認めるというのか。


何度も何度も自分を責めて何度も何度も泣いて謝って。それでも私はそれすら七日後に忘れてしまう。

こんな自分が大嫌いだ。


それでも両親はこんな私を見捨てずにいてくれている。本心は私のことをどう思っているのか分からないけれど、支えてくれている。
充分過ぎるほどに、真摯に献身的に。

それはとても有難くて、心の支えでもあるのだけど、申し訳ない気持ちにもなる。

ごめんなさいって、毎日思っている。