泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】



そんな中で困惑しつつも手を差し伸べてくれる人もいるけれど、友達にはなれない。

なるべきでない。

お互い困ってしまうから。傷付いてしまうから。

だから今のクラスメイトとの距離感は丁度良いはずで。

壁を作られているわけではないけれど、直に触れ合えるわけでもない。

薄い膜一枚越しの距離。

それは私なりの自衛で。

私なりに人様に迷惑を掛けないようにしているつもりでもある。


だから────余計に嬉しかった。

彼が友達になって欲しいと言ってくれた事が本当に嬉しくて。

すぐにでも頷いてしまいそうになるのを必死に我慢した。


彼は何も知らないから私と友達になりたいと言うんだ。
私が来週には全て覚えていられない事を知れば好きだなんて決して言わないだろう。


ガヤガヤと賑やかな教室で、私はただ一人まっすぐ前を向いた。

何を聞いても何を見ても、何も覚えていないのなら何の意味もないから。


そうやって殻に閉じこもる。

閉じこもって、殻を破る事を恐れて。