泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


「彩乃も本心で言ってるわけじゃないのよ」

「そうだぞ。彩乃だって本当はお姉ちゃんが大好きで⋯、だけど素直になれない年頃でもあるしなあ。難しいな」

「⋯分かってるから、大丈夫だよ」


お父さんとお母さんがフォローしてくれるけれど、それをそのまま受け取る事はさすがに出来なかった。

本心じゃない。本当は大好き。そんな事思えるわけないじゃんって。

だけどそれを両親に言ってしまえば益々二人を困らせて悲しい思いをさせてしまうのは本望ではない。


家族と上手くいかない時って皆どうやって乗り越えているんだろう。

家族と言えど私は彩乃ではない。だから彩乃が私に対して日々どんな事を思い、どんな感情を抱いているのかなんて⋯分かろうとした所で分かるはずもなく。

本音で話せば分かり合えるなんて、綺麗事だと思った。

記憶を失ってしまう私にはそんなの何の意味もないと思った。