泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】



朝、目が覚めるとそこは真っ白な世界ってわけにはいかない。

私は自分の名前も、両親も、記憶がなくなってしまう事も覚えている。

それに酷く安心する反面、いっその事全てを忘れてしまった方が楽になれるのではないかなんて馬鹿げた事を頭の中で考えては首を振って消した。

ベッドから降りて、机の上にあるノートの文字を見てそれを開けば、自分の書いている日記という事がわかった。

日記の部分は飛ばして自分の症状や、通っている学校について書かれたそれに目を通してから部屋を出ようとドアの前に立つ私の目に飛び込んできたのは「妹の名前は彩乃」という張り紙。


「妹⋯」

ピンとこない。

自分に妹なんて居ただろうか?

ああ、どうしよう。どんな子なんだろう?

何歳なのかな?

緊張するなあ⋯。

私は妹の事をなんと呼んでいたんだろう?

彩乃ちゃん?いや、彩乃と書いてあるんだから普通に彩乃と呼んでいたのだろう。


色々と疑問が沸き起こってきて、緊張する。

例え昨日までの私が妹と過ごしていたとしても、今の私には初対面と変わりなく⋯、ドキドキとする胸を抑えながら私は部屋を出て階段を下りた。