泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】



怖い事があっても、辛く苦しい時でも、

もう消えてしまいたいなんて思わない。


私の傍にいて、手を取ってくれる愛しい人に出会えたから。

拓海が私にそうしてくれる様に私も拓海に寄り添ってその笑顔をいつまでも引き出したいと思う。

拓海が悲しくて泣いてしまいたい時にはその背中に腕を回して思いっきり抱きしめてあげるんだ。


視線を上にすれば、私を見つめる煌めく瞳と目が合った。


「拓海」

「ん?」

「ありがとう、大好きだよ」

「⋯俺も大好きだよ」


嬉しそうに照れくさそうに微笑む愛しい人。

ふわりと風に乗った潮の香りが心地よい。


泣いたっていいし、たまには逃げ出して休んでもいい。

どんな事があっても一日一日を全力で乗り越えればそれでいい。


一瞬、一瞬を大切にしたい。

もう二度と戻らないこの瞬間を私は全力で抱きしめたい。


「これからもよろしくね」


さっきは言えなかった言葉を伝えた私に拓海は幸せそうに頷いた。




日日是好日 【完結】