泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


「⋯拓海、ごめん」

「⋯」

「この前、手振り払って逃げてごめんっ」

「ショックだったけど許す」

「っごめん、」


拓海の胸に顔を埋めて謝る私に「いいよ、もう」と言ってくれる拓海の優しさはいつだって私を守ってくれているのだと思った。


「この前も今も待たせてごめんね」

「こうして佳乃に会えるなら何時間だって待ってられるよ、マジで」

「⋯拓海」

「ん?」


何時間だって待ってられると笑って言ってしまう拓海に、私は話そうと思った。

拓海にならかっこ悪い所も情けない所も弱い所も全部⋯、全部、見せてもいいかなって。

きっとこの人なら私がどれだけ情けなくて弱くても見捨てる事などしないだろうと思った。


「もう見飽きてるよって思わないでね」

「うん?」

「私の弱い所を見ても好きでいてね」


一旦胸から顔を上げてそう言った私に拓海は何故か面食らった表情をした後、困った様に眉を下げて笑った。


「俺が佳乃を好きじゃなくなる事はないよ」

「そんなの分かんないじゃん」

「分かるよ」

「将来の事なんて分からないよ」

「じゃあ今から俺は未来人っていう事で」

「何それ、ありえないよ」

「そのありえないと同じくらい佳乃を好きじゃない未来なんてありえないよ」


無邪気に笑う拓海。

未来人でも現代人でもなんでもいい。

これからも拓海が好きでいてくれるなら、拓海が地球人ですらなくてもいい。