泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】

「え?じゃなくて!」

「⋯っごほ、」

「お姉ちゃんの誕生日、お祝いしてもらいなよ」

「⋯別に、そんなのいいよ」

「何でよ、付き合ってるならお祝いして欲しくないの?」


ぷくっと頬を膨らます彩乃は可愛いけど、私は首を横に振ってその言葉を否定する。


「わざわざ私から誕生日ですって言うの恥ずかしいし⋯」

「そんなの恥ずかしがる事じゃないって」

「でも⋯、わざわざお祝いしてって言ってる様なものでしょ?無理だよ」


誕生日を祝ってと言うのはなんだか物を催促している様に思われてしまうんじゃないかと不安な私に彩乃は「この際高いプレゼントでも強請っちゃえば?」とイタズラに笑う。

こういう所は性格が反対だなと思う。

彩乃は彩乃で冗談なのだろうけど、やっぱり私には自分から誕生日を知らせるなんて出来ない────。


拓海には聞かれない限り言う必要はない気がするし。でも、ほんの少しだけだけ拓海と誕生日を過ごしたかったって気持ちもあるなあ。なんて思いながら唐揚げを食べる私を彩乃が見ていた事に気付かなかった。