泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】


初めてのキスはレモンの味じゃなくてブルーハワイの味だった。

一瞬触れて離れた唇はたった一秒にも満たない時間の中でありえない程熱を持った。


「⋯っ」


こういう時、開口一番に何を言えばいのかなんて知らなくてそっと拓海の顔を見上げればそこには愛しそうに笑う拓海がいる。

そして何を言うでもなく空いている方の手で私の髪を撫でながら再び空を見上げた拓海に私の心臓はドキドキドキドキと大忙しだった。


こういう時は、何か言葉を交わさなくてもいいらしい。

らしいって言うか、今何か言葉を交わさなくても二人の想いは同じだと思った。

少し照れくさくて、だけどとても幸せで。

一歩寄り添う様に拓海の傍に寄れば、自然と全身の体温が上がった。


花火を見ている間も、お祭りが終わって家路につく間もずっと手は繋がれたままで、制御出来ない緊張と愛しさに私の心はどこまでも支配されていた。