泡沫の夢の中で、一寸先の幸せを。【完】



その後、朝食を食べ終えた彩乃は一足先に家を出る。

この後に学校に行って準備をした後、バスで会場まで部員皆で向かうらしい。


お母さん達と私は準備をした後、午後に出番がある彩乃に合わせて家を出た。

吹奏楽のコンクールは広い演奏会場で行われるらしく、私たちはホール内の座席に座る。

どうやら演奏前はリハーサルなどで忙しいらしく彩乃には会えないらしい。朝、頑張ってと言っておいてよかったと安堵しながら臙脂色をした座席に背を凭れた。


「なんか、私まで緊張しちゃうなぁ」

「佳乃が緊張してどうするの」

「だって、こういうの苦手なんだもん」


彩乃の学校の出番が近付いてくる度に心音が速くなる。どうやら私は緊張しいらしい。

ふう、と息を吐く私と同じく何故か緊張しているお父さんを見たお母さんは「似たもの同士ね」と呆れていた。

⋯⋯それにしても他の学校の演奏も見事で、私は初めて聴く吹奏楽という素晴らしいものに感動すら覚えた。


─────そして遂にやってくる彩乃の出番。


姿勢正しくステージに立った彩乃は私の妹とは思えないほど堂々としていて、凛としたその佇まいは自信に満ち溢れていた。

それが彩乃がどれだけ三年間努力してきたのかを物語っていた。

彩乃だって緊張しているかもしれない。
だけどそれ以上に自信を持っているんだ。

私は何もしていないけど、彩乃がとても誇らしく思えた。

心から尊敬した。