七月も終わりを告げる頃、私はまた大切な人を傷付けてしまった。
たまたま、本当に偶然だった。
久しぶりに部活が午前までだったという彩乃の為にパートで家を留守にしているお母さんの代わりにお昼ご飯を作ろうとしていた私と、部活終わりで疲れているはずなのに干していた洗濯物を取り込んでくれている彩乃。
会話は弾まなくとも、険悪という程でもない空気だった。
「お姉ちゃん、洗濯物部屋に置いておくね」
洗濯物を畳み終えた彩乃が私の分の洋服を持って階段を上がっていく様子を私は焼きぞばを作りながら見届けた。
その時はこんな事になるなんて思っていなかった。
簡単なものしか作れなくて申し訳ないけど美味しく食べてくれるといいなぁ。と呑気な事を考えていた私の耳に、ドタドタという強い足音が聞こえて、「彩乃?」とリビングのドアへと視線を向けた瞬間、ドアが大きな音を立てて開いた。
「っなんなの、これっ、」
怒りと悲しみに染まった表情で私を睨み付ける彩乃の手にはクシャクシャになった紙が握られていて、さっきまで普通だった彩乃が急に取り乱した様に詰め寄ってくるのを混乱しながら見つめた。



