【短編】『大嫌い』と呟いて、『大好きだよ』ってこぼした



「うおっ、なにこれひでーな。手伝うよ」


君がそう言ってくれたときから、きっと私は君が好きだった。


大好きだよ。  


大好きだ。



もう届くことのない言葉を口の中で噛み砕く。

きっと今日、あの橙が見える頃にはすべてが終わっているだろう。


そして君にサヨナラを告げて、歩き出すだろう。

君にサヨナラを告げる頃には、きっと橙を、オレンジを、好きになれるだろう。