【短編】『大嫌い』と呟いて、『大好きだよ』ってこぼした




「川島 日和。ご家族がお見えだ」
「はい、わかりました」


「は…?家族?なに言ってるんですかー先生」


…あのね、知ってる?  

私は、優しくなんかないんだよ。


君に傷ついてほしいから、私は酷いことをするよ。
私はアキラが思うほど、良い奴じゃないんだよ。


「アキラ、私ね?優しくないんだ。
 だからだよ。君が守ってくれていたときは、手を出さなかった」

「な、なに言ってんのよ…!」

アキラ、バレてるよ。

先生にも、私の親にも、バレてるんだよ。



あんたがどんな人間か、優等生の裏の顔が



職員室に行くときに見えた、アキラの顔。

その顔は、私と同じくらい醜くて、君には釣り合わないくらい汚かった。


今は、朝日が差し込む。



あの日の放課後


一人で一生懸命、机の落書きを消していたとき