【短編】『大嫌い』と呟いて、『大好きだよ』ってこぼした





「あのね、私、あんたのこと大嫌いだよ。
 気づかなかった?だからね、私、オレンジも嫌いなんだよ」 


「そういうわけだから、もういいから。
 私に構わなくて、いいから。ここに来なくて、いいからね」



カバンを持って、教室を出る。

君を置いていくことも、君に失望されることも初めてで。
きっと苦しくないって思ってたのに、いざそうなったら苦しくて。

知ってる?私ね、君の彼女と喧嘩したの。
私ね、君の彼女がどんな人か、知ってるの。


でも、教えたくなかった。 

私じゃなくてあの子を選んだから、私を選んでくれなかったから、意地悪したの。

君が傷つくようにって、君に『日和のほうが良かった』って思ってほしくて


サイテーだ、私。



こんなんで、君に選んでもらえるわけがない。


どうしてこんなに私は、君みたいに綺麗じゃいられないんだろう。