「…お前さ、あんま自分を偽らなくていいよ」 私が見上げるが、こいつは真っ直ぐと前を向いたまま、話を続けた。 「もちろん、楽しい時は笑っていいけどさ。悲しい時とかは泣いていいんだよ。…無理して明るいお前を演じないで、いい」 ゆっくりと放つその言葉は、私の心に響くのには十分だった。 「なんで、わかるの」 と私が聞くと、 「俺、お前のこと、ずっと見てたから」 と、私の目を真っ直ぐ見つめて答えた。