周りは一面、雨。 濡れないようにするには、こいつと肩が触れてしまうほど近づかなきゃいけない。 …濡れるのは嫌だけど、こいつと近づきすぎるのも、心臓に悪い。 私が出来るだけ濡れない程度に離れようとすると、 「おい、そんなに離れたら濡れるだろ」 と、私の肩に手を置いて、グイッと自分と私を近づけた。 歩く度に、肩が触れ合う。 その度に、私の顔は熱を持つ。 少しの間、お互い何も話さなかった。 雨の音が周りの音をかき消して、私とこいつの2人だけの世界みたいに感じられた。