「え、そうなの?」


 こいつとの小さな共通点があったことが、少し嬉しいと感じている私がいた。


 …やっぱり、こんなのいつもの私じゃない。


「うん。…ギリギリまで待っておこうかな」


 今は夕方の5時半。


 学校が閉まる6時まではあと30分。


 それまでこいつと2人きりなのか。


 …嫌じゃないけど、なんか嫌だ。


「お前さ、なんか疲れてね?」


 その言葉に、私は目を見開いた。


 やっぱり、気付いてる。


「…疲れてない」


 でも、それを認めたらこいつに負けた気がするから。


 私はすぐに否定した。


「そう?」


 このままこいつと向かい合っていたら、こいつに私のことを見透かされてしまいそうで。


 私はこいつが座る席とは逆方向の窓側に顔を向けた。


 こいつはそれを、私が話したくないという意思表示だと受け取ったのか、それから話しかけてくることはなかった。