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決勝戦のセンターコートにて二校の選手達がにらみ合っていた。
「よう大崎、覚悟は決めてきたか?莉愛は頂くぞ」
「はっ!ふざけるな。莉愛は渡さないと言っただろう」
「くくくッ……それで、あいつはどうした?まだ来ていないようだが?」
「莉愛はアップが終わる前には来るはずだ」
両校の選手達がアップを開始していると、一人の少女がやって来た。
「おい、あれ……」
「うっわ!美人」
「キャーー!莉愛様」
「女王ーー!」
鳳凰の観客席からはどよめきが、犬崎の観客席からは黄色い悲鳴が聞こえてきた。そんな声を気にした様子も無く、髪をなびかせ颯爽と歩く莉愛の姿に、皆の目が奪われる。その圧倒的な存在感に皆の胸が震えた。そして豪は高鳴る自分の胸を鷲づかみにしていた。
「やっべぇな。マジかよ。本気で俺のモノにしてえ」
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「大地、最後のレシーブ練習始めるよ」
「わかった」
大地達狼栄は莉愛に促され、レシーブ練習を開始した。
「いくよ」
莉愛は膝を使い、高くジャンプするとサーブを打ち込んだ。
「ズドンッ」
連続して響く、ボールの重低音。
東京体育館にいる人々が、その音を聞き、どよめく。
「すっげーー」
「これだよ、これ。俺、生で見たかったんだ。今日来て良かった」
「莉愛様かっこいいーー!」


