朔に名前を呼ばれた、と思ったら。
突然、腕を掴まれ朔のほうへと引き寄せられた。
「……っ!」
うそ。私、朔に抱きしめられてる!?
ふわりと包まれた温もりに、思わず心臓が跳ねる。
ドキッとしたのも束の間、すぐ脇を自転車が走り抜けていった。
「千紗お前、ボーッと歩いてんじゃねぇよ」
「あっ……」
後ろから自転車が来ていたこと、全然気づかなかった。
あれこれ考えながら歩いていたから。
「ボケっとしてたら、危ないだろ!?」
「ごっ、ごめん」
私ってば、昔からそうだ。
ボーッと歩いてて、よく躓いて転んだりもしたし。
中学生になっても、そういうところは全然成長していない。ダメだなぁ……。



