一度も足を止めることなくひたすら歩いていた朔が、ふいにこちらを振り返った。 「なっ、何?」 朔が黙って真っ直ぐ、私を見てくる。 「どうしたの? 朔」 「お前、まだ帰んないの?」 「え?」 「暗くなって来たけど……」 朔が、空に向かって人差し指を立てる。 朔につられて見上げた空は、いつの間にか藍色に染まり始めていた。 「もうとっくに下校時間過ぎてるし、辺りも暗いし。お前ひとりじゃ心配だから、その……」 朔が、がしがしと頭を掻く。 「俺と……一緒に帰る?」