「わっ!!」


突然後ろから誰かに肩を叩かれ、私は変な声が出てしまった。


「さっ、(さく)!?」


後ろを振り返ると、すぐそばに立っていたのは、幼なじみの安東(あんどう) 朔だった。


朔は、切れ長の瞳が印象的で、アイドル顔負けのルックスをしている。

相変わらず、いつ見てもかっこいい。


「もっ、もう〜! 朔ったら、いきなりびっくりするじゃない!」


花占いの最中に、意中の相手が突然自分の前に現れて、心臓が飛び出るかと思った。


「は? そんなに驚くことか? ていうか千紗、その花は……?」

「えっ!?」


私は、持っていたマーガレットの花を、咄嗟に背中に隠した。


まさか “ 朔が私のことを好きかどうか気になったので、花占いをしてました ” なんて本人に言えるわけがない。