「千紗」
朔にもう一度呼ばれ、私が俯いていた顔を上げると。
「……冷たっ!」
左頬に突然、冷たい何かが当てられた。
「ははっ。冷たかった?」
まるで、イタズラが成功した子どもみたいに笑う朔。
「これ、お前にやるよ」
朔が私に渡してくれたのは、イチゴミルクの入った冷えたペットボトル。
「今そこの自販機で買ってきた」
朔ってば、いつの間に……。
「お前、それ好きだろ?」
「う、ん」
このイチゴミルクは、私が幼い頃からずっと好きで、今でもよく飲んでいるものだった。
朔、覚えててくれたんだ。
嬉しいな。
朔からペットボトルを受け取るとき、一瞬私の手が朔の指に触れてドキッとする。
「千紗、なんか元気なかったから。もしかして、俺のせいかなって思って」
「え?」



