あの子は、私のことをどう思っているのだろう。
夕焼け空の下。ふわりと吹いた風で、校庭の花壇のマーガレットが静かに揺れる。
お母さんから昔、聞いたことがあるけれど。
確か、マーガレットの花言葉は『恋占い』だったっけ。
そのことがふと、頭の中を過ぎった。
白、赤、黄色……。
花壇に植えられている色とりどりのマーガレットの中で、私は白いものを1輪手に取ると。
「好き、嫌い、好き、嫌い……」
グラウンドのそばの階段に座り、花びらを1枚ずつ順番にちぎっていく。
私、仲田 千紗には今、好きな人がいる。
相手が自分のことをどう思っているのか知りたくなり、恋占いをしてみることにした私。
『好き、嫌い、好き、嫌い』と繰り返し言いながら花びらを1枚ずつちぎっていき、最後の1枚が『好き』で終わったら、相手も自分に好意を寄せてくれていることになるのだけど……。
「好き、嫌い……」
花びらはあと、数枚。願わくば、どうか『好き』で終わって欲しい……!
「好き、嫌い……えっ!」
「……おい、千紗。そんなとこで何やってんの?」