「お前にだけは指一本触れさせねぇよ」

「怖っ、顔怖っ…」


鬼のような形相で睨む俺に、海斗は冷やかすような顔を向けて煽る。


「ユキもグイグイいかないように慎重にやってるの?菜穂に対して」


雪希が興味本位で聞くと、幸人は何も言わずニコッと笑って手元にある本をまた読み始める。


「おい、コイツもう手出したぞ」

「早っ!気持ち悪いくらい早っ!」

「もしかしたら幸人が一番手早いんじゃないか?」


すかさず三人で幸人を問い詰めるが、幸人は表情一つ崩さずにこやかに笑って全てを受け流していた。